小平市の子育て支援課に提出する要求書の作成方法

父母連は、市の子育て支援課が翌年度学童を含む子育て関連の予算を策定する際に、当事者である学童保護者の声を伝えるべく、「要求書」を作成しています。この記事は、要求書を作成する前に行う意識調査(アンケート)を作る考え方について説明します。

アンケートを作るマニュアルは別の記事でまとめています

父母連で利用しているアンケートの作成マニュアル(Google Forms)

なお、ここで書いている方法は、2019年執行部の「多分こうするとうまくいく・こうやるとうまくかない」と言う経験に基づいて記載しています。必ずしもこのやり方に沿う必要はありません。担当される方がやりやすいようアレンジして大丈夫です。

要求書は、簡潔・具体的に作成する方が良い

要求書には市の担当の方が書面で回答を作ります。回答しづらい要求には回答者も苦戦して当たり障りのない回答をせざるを得なくなると考えています。(これは市の批判ではなく、一般論です)

悪い例:子どもたちが安心して過ごせる学童保育にしてほしい

これだと、要求が漠然としていています。何をどうすれば安心して過ごせるのか、読む人によって解釈が分かれます。

改善例:子どもたちが安心して過ごせるよう、指導員の目が行き届く範囲でクラブを分割してほしい。具体撃には1クラブあたりの定員を現場の40名から30名に縮小してほしい。

これだと、「安心」と言うのが「指導員の目が行き届く」と言う行為を指していることがわかりますし、「定員を40人から30人に減らす」と言う具体的な数字があります。数値を出すことで「30人は無理だが35人なら可能」と言う譲歩案を引き出せます。

壮大な要求は、「1年で実現可能な単位」に分割するのが良い

毎年の要求は「小平市の学童に関する来年の予算」に関わることがほとんどです。そのため、年間予算で実現できない要求は受け入れてもらえない可能性があります。

悪い例:学童クラブ施設の老朽化が進んでいるので、即刻全クラブの設備を入れ替えてほしい

20以上あるクラブの設備を1年間で全部入れ替えるための予算を1年で獲得するのは恐らく困難でしょう。

改善例:学童クラブ施設の老朽化が進んでいる。老朽度が高い順に設備を入れ替えてほしい。5年間で全クラブの設備入れ替えをすむような計画を作ってほしい

この要求が妥当かは判断できませんし、定期的なメンテナンスは市でも計画しているはずです。ただ、この要求であれば、「全クラブの改善を要求したがどのクラブも改善されなかった」と全滅することはなく「全クラブとは行かないが、古いクラブが今年はいくつか改善される」と改善が少しずつ進むはずです。

なお、この要求をするときは、くれぐれも次年度執行部に「どういう全体計画で今年はどこまで進んだか」を引き継ぐのを忘れないでください。

毎年却下される意見であっても、言い続けることは無駄ではない

毎年のように要求し、要求が通らない設問はあります。

通らない要求をするくらいならその要求はやめて別の要求をしたくなるかもしれません。ただ、毎年要求をすることで「ニーズはある」ことが可視化されます。担当者が変わったタイミングで実現してもらえるかもしれません。また「毎年要求しているのに市が対応してくれない」と言う事実を元に議会経由での要求をすることもできるかもしれません。

※ここでいう要求は「現実的な具体的要求」に限ります。

先ほど紹介した漠然とした提案で却下されていると感じた場合は要求の内容を見直しましょう。

アンケートは票数(賛同している人数)を書くと良い

以前は学校別に意見をまとめてもらって、定性的な要求をしていました。ただ、小平市の方と会話をする際に「何人が賛同している」と言う数値はそれなりにインパクトがあったような感想を持ちました。

学校別のニーズを届けることは大事なのですが、有権者でもある保護者の何名が賛成しているのか、数値情報をつけることはインパクトのある要求手段だと考えます。

例えば小平市の市議会選挙は1,300票程度の得票で当選できます。

小平市の学童を利用されている保護者全員が投票すると、ほぼ当選確実なのです。必ずしも市議会選挙と関係があるわけではありませんが、有権者の数は客観的に重要な数字と考えます。

注意:賛同票数が少いから要求書に入れないと言う考えに気をつける

これは大事な注意点です。前述の「票数はインパクトがある」と矛盾する側面もありますが、「少数意見を無視する」ことが最善とは限りません。これはマイノリティの差別にもつながるので慎重に取り扱ってください。

例えば、障害児の学童利用に関する要求は、当事者の人数で言えば10~20名程度かもしれません。だからと言って無視していい話ではないと思います。

最後に:要求書だけが要望を実現する手段ではない

なお、学童関連で小平市に何かを要求するのは、1年に1回、要求書のタイミングを待つ以外の方法もあります。小平市に直訴したり、知り合いの市議会議員経由でお願いをすることもできます。また、上部組織である三多摩地域の父母連絡協議会に相談することも有効かもしれません。

「父母連」というと大層な組織に思えますが、多くのかたが1-2年任期・持ち回りの一般の保護者ですので、周囲の力を借りながらうまい具合に行政に困っていること・改善したいことを訴えていきましょう。